昼下がり、
ベッドに体を投げ出して本を読んでいると、
かしゃんかしゃん、
金属が触れ合う音が庭から聞こえた。
鋏だ。
ベランダに出て下を見ると、父が庭を整えていた。
青々と茂った葉が、家へ入る筈の日を遮ってしまっていたようだ。
兎に角緑に埋まっているような風情の庭をすっきりさせたいらしい。
さっき僕がミントを買ってきて植えていたのを見て、思い立ったらしい。
日に焼けた父が二階を見上げて「切り取った葉を集めてくれないか」と言うので、手伝った。
祖母が花壇の花を救出している。
これからが成長の時期である草木は瑞々しく、なかなか折りづらい。
小さな枝を折り畳んでいるうち、すっかり新緑の香りに包まれた。
「夏までに庭にミントとゼラニウムをたくさん植えるんだ」と祖母に宣言しながら、ベランダにも鉢植えが必要だと思った。ゼラニウムは、シトロネラがいいな…。
一段落する頃には日も天高くになっていて、そろそろ終わりにしようと言うことになった。
「アイスコーヒー淹れてくれ、」と言われて一足早く庭から戻ると、手早く豆を挽いてコーヒーを淹れる。
氷を沢山サーバーに入れて、その上からコーヒーを淹れる。氷が溶けきる前にサッと混ぜてグラスに移す。
祖母にはアイスティーを淹れた。フレーバーは桃。
祖母が「おやつにしましょう。」と言って白い皿に焼き菓子を持ってリビングにやって来た。
父と映画の話をしながら、久しぶりにゆっくり過ごした、午後だった。
素敵なことがあった日は物語のように語る。
あまり機会が無いけれど(笑)
画像は襟に真鍮のボタンと鳩のピンバッヂがついているのが気に入って買ったトップス。
あまり写っていない。(笑)
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舞台は都市から郊外へ。
何とも淡い午後のひととき。
少しだけ泣いてしまいそうです笑